『信長の野望 蒼天録』家宝一覧-茶道具-

等級 生産国	家宝名	由来
一等級 明国	九十九髪茄子 つくもなす	「流転の茶器」の異名をとる戦国時代随一の名物茶入。村田珠光が９９貫で購入したことからこの名がある。朝倉宗滴、松永久秀、織田信長などが所有した。
一等級 明国	上杉瓢箪 うえすぎひょうたん	漢作唐物茶入。天下六瓢箪の１つ。上杉景勝が所有した。所有者の名にちなんで「大内瓢箪」「大友瓢箪」の別名も伝わる。のちに紀州徳川家の所有となった。
一等級 明国	四聖坊肩衝 ししょうぼうかたつき	唐物肩衝茶入。青味を帯びた柿色が所々に漂う栗色をしている。奈良東大寺の四聖坊が所有していたためこの名がある。徳川家康や、山内一豊などが所有した。
一等級 日本	珠光文琳 しゅこうぶんりん	漢作文琳茶入。珠光が所持していた名物の一品。所有者の名にちなんで「天王寺屋文琳」「宗及文琳」などの別名も伝わる。織田信長の手にも渡ったという。
二等級 日本	楢柴肩衝 ならしばかたつき	漢作肩衝茶入。天下三肩衝の１つ。博多の商人・島井宗室から秋月種実に渡る。九州征伐の際、降伏の印に豊臣秀吉へ献上されるが、のちに消息不明となった。
二等級 明国	新田肩衝 にったかたつき	唐物肩衝茶入。天下三肩衝の１つ。村田珠光が所有したのち、三好政長、大友宗麟、織田信長、豊臣秀吉らに渡る。大坂落城後は徳川家の家宝となった。
二等級 明国	初花肩衝 はつはなかたつき	唐物肩衝茶入。天下三肩衝の１つ。楊貴妃の油壷であったとも伝えられる。初花劣らぬ上品さと評した足利義政が命銘した。織田信長、豊臣秀吉らが所有した。
三等級 日本	国司茄子 こくしなす	漢作茄子茶入。天下三茄子の１つ。伊勢国司・北畠家が所有していたため、この名がある。のちに茶人・松花堂昭乗が入手し、八幡名物の随一として愛蔵した。
三等級 明国	富士茄子 ふじなす	唐物茄子茶入。天下三茄子の１つ。堂々とした姿が富士山を連想させるため、この名がある。足利義輝、豊臣秀吉などを経て、加賀前田家の所有となった。
三等級 日本	松屋肩衝 まつやかたつき	漢作肩衝茶入。別名は「松本肩衝」。奈良の塗師・松屋が村田珠光から譲り受けた。名物として知られ、多くの大名や富豪がこれを所望したが、叶わなかった。
四等級 日本	珠光小茄子 しゅこうこなす	珠光名物の１つで、天下四茄子にも数えられる。織田信長の家臣・滝川一益が恩賞として望んだが叶わず、大いに嘆いたという。本能寺の変で焼失した。
四等級 日本	紹鴎茄子 しょうおうなす	漢作茄子茶入。飴色をした、小さな茶入で、天下四茄子の１つに数えられる。茶人・武野紹鴎が所有していたため、この名がある。別名「みおつくし」。
四等級 日本	似たり茄子 にたりなす	代価が１００貫だったため、別名「百貫茄子」という。九十九髪茄子の代価が、９９貫であるのと似ているため、この名がついた。大友宗麟が所有していた。
五等級 明国	本願寺肩衝 ほんがんじかたつき	唐物肩衝茶入。東本願寺に伝わる名物。「肩衝茶入」はその名の如く肩のついている茶入で、古来、茶入の中でも著名なものが多い。
五等級 明国	本能寺文琳 ほんのうじぶんりん	文琳型茶入。もともと越前朝倉家が所有していたが、朝倉家滅亡後、織田信長の手に渡る。のちに信長が本能寺に寄進したため、この名が伝わる。
五等級 明国	松本茄子 まつもとなす	茄子形茶入。織田信長、豊臣秀吉と渡った後、徳川家康が大坂城の焼け跡から拾ったと伝えられる。天下人の手を渡り歩くという数奇な運命をたどった茶器。
六等級 明国	打雲大海 うちぐもりたいかい	漢作唐物茶入。柿色の地に浮かぶ黒い模様が曇雲のようであることから、足利義政が命銘した。豊臣秀吉、京極家などを経て徳川将軍家の所有となった。
六等級 日本	円乗坊肩衝 えんじょうぼうかたつき	古瀬戸茶入。全体に十数段の筋がめぐっている。本能寺の変の災禍に見舞われた後、円乗坊宋円が焼け跡より拾い上げたことからこの名がついた。
六等級 明国	遅桜肩衝 おそざくらかたつき	漢作唐物茶入。初花肩衝より披露が遅れたため、金葉集の歌にちなんで足利義政が命銘した。藤堂高虎や松平忠明らを経て、徳川将軍家に伝わった。
七等級 日本	宗無肩衝 そうむかたつき	漢作肩衝茶入。ひび割れが全体にある美しい茶入。名は住吉屋宗無が所有していたことから、この名がついた。佐竹義宣が愛用していた。
七等級 明国	玉垣文琳 たまがきぶんりん	漢作唐物文琳茶入。桃山時代からすでに新田肩衝などとともに、唐物茶入の代表作として名高い一品であったという。織田有楽斎、豊臣秀頼などが所持した。
七等級 明国	宮王肩衝 みやおうかたつき	唐物茶入。宮王大夫道三が所有していたことから命名された。豊臣秀吉、徳川家康の所蔵となり、のちに大坂夏の陣の戦功を表された井伊直孝が拝領した。
八等級 明国	安国寺肩衝 あんこくじかたつき	漢作唐物茶入。名は所有者の安国寺恵瓊にちなむ。のちに津田秀政、細川忠興に渡る。忠興の子・忠利は領内の飢饉の際貧民救済のため、これを売ったという。
八等級 日本	筒井肩衝 つついかたつき	古瀬戸茶入。名は所有者の筒井順慶に由来する。若くして病死した順慶を偲ばせせるよ優美繊細な形が見てとれる。のちに徳川家康の所有となった。
八等級 明国	酸漿文琳 ほおずきぶんりん	唐物文琳茶入。黒飴色の地に柿色が浮かび上がる美しい茶入。徳川家康の所蔵であったが酒井忠世に贈られ、以後、酒井家に伝わった。
九等級 明国	稲葉瓢箪 いなばひょうたん	唐物茶入。天下六瓢箪の１つに数えられる。淀藩主・稲葉家が所有していたためこの名がある。明治時代に稲葉家から岩崎弥之助の所有となった。
九等級 日本	竹中小肩衝 たけなかこかたつき	漢作肩衝茶入。小形で小豆色の、薫り高い逸品である。名は竹中半兵衛重治が豊臣秀吉から拝領したため、この名がついたといわれる。
九等級 明国	筑紫肩衝 つくしかたつき	漢作唐物茶入。虹のような紫褐色の釉が美しい茶入れ。由来は定かではないが、筑紫にあったため、この名が伝わる。豊臣秀吉、徳川家康などが所有した。
十等級 明国	九鬼文琳 くきぶんりん	唐物茶入。名は九鬼嘉隆が所有していたことに由来する。のちに二代将軍・徳川秀忠に献じられ、次いで三代将軍・徳川家光の有するところとなった。
十等級 日本	松前肩衝 まつまえかたつき	古瀬戸茶入。丈は高く、全体に淀んだ栗色をしている。佐竹家から幕府に献じられ、以後、「柳営御物」となる。柳営御物とは徳川将軍家秘蔵の茶器をいう。
十等級 日本	山名肩衝 やまなかたつき	漢作肩衝茶入。名は、所有者であった但馬の大名・山名家に由来する。前田家の家臣・中川宗半が所有していたことから「宗半肩衝」の別名も伝わる。

等級 生産国	家宝名	由来
一等級 明国	三日月 みかづき	葉茶壷。大きい瘤が７つあり、傾き気味の形が三日月に見立てられて、こう呼ばれる。足利義政、三好義賢などを経て織田信長に渡り、本能寺の変で焼失した。
一等級 日本	八重垣 やえがき	葉茶壺の大名物。容量は６斤。腹の部分に黒釉がかかり、上部は赤黄色に焼けている。ろくろ目が３つと、底に漆繕いが３つあり、趣深い。
二等級 明国	松島 まつしま	葉茶壷。表面に多くの瘤があり、奥州の名勝・松島を連想させるため、この名がある。三好家、今井宗久を経て織田信長に献上され、本能寺の変で焼失した。
三等級 明国	四十石 しじゅっこく	葉茶壷。足利義政の家臣が４０石の土地とこれを交換したため、この名がある。豊臣秀吉の時代には「三日月、松島滅してのち、天下一」といわれた。
四等級 明国	松花 まつはな	中国南部で作られた葉茶壷。松島、三日月とならぶ天下三名壷の１つ。村田珠光から織田信長、豊臣秀吉を経て、尾張徳川家へと伝わった。
五等級 明国	呂宋壺 るそんつぼ	中国南部からルソン（フィリピン）経由で輸入された壷。豊臣秀吉がこの呂宋壷を気に入ったため、一時は大流行したという。
六等級 日本	橋立 はしだて	７斤入の葉茶壷。丹後国で発見されたため、名勝・天の橋立にちなんで名付けられた。侘びを感じさせる姿のため、千利休に愛用された。
七等級 日本	志賀 しが	葉茶壷の名物。黒の上釉と藍色の下釉に彩られ、大小多くの瘤があるのが特徴。筑前志賀山で発見されたため、こう命銘された。別名「仕香茶壷」。
八等級 日本	裾野 すその	葉茶壷の名物。茶湯の名人・珠光が「遠山が下におりている」と評したことによる命銘と伝えられている。加賀前田家所蔵の一品。
九等級 日本	兵庫 ひょうご	葉茶壷。摂津兵庫で荒木村重が拾い上げたことからこの名がついた。豊臣秀吉が大金で譲り受け、織田信長の次男・信雄に贈ったといわれる。
十等級 日本	りんき壺 りんきつぼ	葉茶壷の名物。古田織部の名で知られる茶人・古田重然が所有していた。朝鮮役から帰った際に、夫人が嫉妬心からこの壷を打ち割ったとされ、この名がつく。

等級 生産国	家宝名	由来
一等級 日本	平蜘蛛釜 ひらぐもかま	平らな形が地を這う蜘蛛を連想させることから、この名がある。松永久秀は織田信長からの引渡しを拒み、これに火薬を詰めて自爆したという。
一等級 日本	鷹ヶ峰釜 たかがみねがま	茶湯釜の一種。胴の部分に「鷹峰山大虚庵」と鋳出していることからこの名がある。しかし、芸術家・本阿弥光悦が作った茶室・大虚庵との関係は不明という。
二等級 日本	富士形釜 ふじがたがま	茶湯釜。口が狭く、胴にかけて裾広の形をしている様が富士山の形に似ていることから、こう呼ばれる。釜輪を通す鐶付（かんつき）には美しい模様がある。
三等級 日本	乙御前釜 おとごぜかま	茶湯釜の一種。乙御前とはお多福を意味し、ふくよかなものを指す。織田信長が所有し、のちに柴田勝家に贈ったもののほか、数点が記録に残っている。
四等級 日本	阿弥陀堂釜 あみだどうがま	茶湯釜の名物。千利休が辻与次郎に命じて作らせた一品で、利休の好みが随所に見られる。豊臣秀吉の命で阿弥陀寺に贈られたことに、名は由来する。
五等級 日本	大講堂釜 だいこうどうかま	茶湯釜の一種。比叡山延暦寺の香炉を釜に転用したものといわれる。胴の上部に「大講堂」の文字が横書きで浮き出しに鋳られているのが特徴である。
六等級 日本	姥口釜 うばぐちがま	茶湯釜の一種。口作りが、歯の抜けた老婆に似ていることからこう呼ばれる。姥口をした釜は千利休をはじめ、当時多くの茶人に愛用された。
七等級 日本	達磨堂釜 だるまどうがま	茶湯釜の一種。京都高桐院で清巌和尚が建立した堂内の香炉を釜としたのに由来する。「達磨堂」の浮き出し文字があるものもある。
八等級 日本	十二支釜 じゅうにしがま	茶湯釜の一種。十二支をあしらった文字や形が、胴にほどこされたものをいう。当麻寺中ノ坊に所蔵されている十二支釜は特に著名である。
九等級 日本	芦屋釜 あしやかま	茶湯釜の一種。筑前遠賀川の河口付近にある芦屋で作られた釜の総称。茶湯釜の基本形であり、桃山時代に京釜が盛んになるまで多く作られた。
十等級 日本	尻張釜 しりはりかま	茶湯釜の一種。その名の通り尻が張った形をしている。千利休が好んで使ったと伝えられており、辻与次郎の作である。別名「泥障釜」。

等級 生産国	家宝名	由来
一等級 明国	青磁馬蝗絆 せいじばこうはん	平重盛が中国から贈られたという青磁茶碗。割れ目を止める６個のかすがいが、いなごを連想させることからこの名がある。足利義政、角倉家などに伝わった。
一等級 日本	青磁松本 せいじまつもと	青磁茶碗。大和国の三輪休雪が松本で製陶し始めた「松本萩」の１つ。ほんのり青味を帯びた見目麗しい茶碗だったという。本能寺の変で焼失した幻の一品。
一等級 日本	黒楽紙屋黒 くろらくかみやぐろ	長次郎作の黒楽茶碗。博多の豪商・神谷宗湛が、自宅に豊臣秀吉を招いた際に、長次郎に作らせた茶碗といわれる。のちに、鴻池家や川上不白などが所有した。
二等級 日本	黒楽大黒 くろらくおおぐろ	長次郎作の黒楽茶碗。利休七種の１つ。大振りな黒茶碗であることから、この名が付けられた。千利休から諸家を経て鴻池家に伝わった。
二等級 明国	細川井戸 ほそかわいど	朝鮮茶碗。天下の三井戸の１つ。利休七哲の１人・細川忠興が所持していたためこう呼ばれる。姿といい、釉といい格調高き名物中の名物。
三等級 明国	加賀井戸 かがいど	大井戸の朝鮮茶碗。喜左衛門、細川とともに天下の三井戸の１つ。前田家が所有していたため、この名がある。最上という意味から、別名「獅子」とも呼ぶ。
三等級 日本	黒楽東陽坊 くろらくとうようぼう	黒楽茶碗。長次郎作で利休七種の１つ。薄作りで懐の広い姿をしており、悠としている。真如堂の茶僧であった東陽坊の愛蔵品。
四等級 日本	赤楽早船 あからくはやふね	長次郎作の赤楽茶碗。利休七種の１つ。千利休が茶会を催すために京から早船で取り寄せたため、この名がある。利休から蒲生氏郷の手に渡った。
四等級 明国	喜左衛門井戸 きざえもんいど	大井戸朝鮮茶碗。天下の三井戸の１つに数えられる逸品。この茶碗を所有する者には腫れ物の祟りがあるという話が伝わっている。
五等級 日本	赤楽臨済 あからくりんざい	赤楽茶碗。長次郎作で利休七種の１つ。５ヵ所の山疵が臨済宗の五山にたとえられて命銘された。最も優れた祖師は臨済宗であるという説から随一の意もある。
五等級 明国	曜変稲葉天目 ようへんいなばてんもく	最も有名な曜変天目茶碗。内側の黒地に７色の星紋が浮かぶ、妖しく美しい光を放つ茶碗である。淀藩主・稲葉家が所有した。
六等級 明国	三島藤袴 みしまふじばかま	朝鮮茶碗。三島藤は狂言袴の文様の一種で、雷文帯をめぐらした中に菊丸紋をほどこしたもの。織田有楽斎が所持し、のちに徳川義直が譲り受けた。
六等級 明国	三好粉吹 みよしこふき	朝鮮茶碗の大名物。全体的に鈍い白色の釉がかかっているため、この名がある。三好長慶が所有し、豊臣秀吉や金森宗和らを経て三井家に伝わった。
七等級 明国	有楽井戸 うらくいど	大井戸朝鮮茶碗。織田有楽斎の名で知られる織田信包が所有していた。大井戸の中でも最も誉れ高い名物の１つである。のちに諸家に伝わった。
七等級 明国	灰被虹天目 はいかつぎにじてんもく	灰被天目に属する名物茶碗。碗の模様が虹を連想させるため、この名がある。東山御物から東大寺、京三井家、若狭酒井家などに伝わった。
八等級 明国	荒木高麗 あらきこうらい	朝鮮茶碗。もと千利休の品であったが、荒木村重に渡る。釉がなだらかで美しく柔らかい。染付茶碗としては初めて茶会記に登場する。
八等級 明国	雲鶴匹田筒 うんかくひきたづつ	雲鶴手の朝鮮茶碗。４羽の鶴と４つの菊丸紋の模様がある。京都の豪商・匹田宗観が所有していたので、この名がある。のちに若狭酒井家に伝わった。
九等級 明国	柴田井戸 しばたいど	朝鮮茶碗。青井戸特有の武骨な味わいが際立つ逸品。全体にビワ色が滲む。織田家臣筆頭の柴田勝家が織田信長から拝領したという。のちに諸家に伝わった。
九等級 明国	三島桶 みしまおけ	三島手の朝鮮茶碗。姿が桶に似ているので、この名がある。千利休が所有し、その長男・千道安などを経て尾張徳川家に伝わった。
十等級 日本	絵志野卯花墻 えしのうのはながき	志野茶碗。「山里の卯花墻（うのはながき）のなかつみ路雪踏みわけし心地こそすれ」の歌にちなむ。志野焼の厚い釉を雪になぞらえた、美しい茶碗。
十等級 明国	魚屋飯櫃高麗 ととやいびつごうらい	朝鮮茶碗の大名物。形がややゆがんでおり、いびつな形をした高麗（朝鮮）茶碗であるため、この名がある。亀屋栄仁、古田重然を経て芸州浅野家に伝わった。

等級 生産国	家宝名	由来
一等級 明国	大内筒 おおうちづつ	最も有名な砧青磁筒形花入の１つ。周防大内家が所有していたため、この名がある。底に向かってすぼんだ筒形をしており、とても珍しい形とされている。
一等級 日本	曾呂利 そろり	金物の花入。座露吏とも書く。その細長い形から「ソロリ」という名前がついたという。武野紹鴎が所有したものは「天下無双の名物」と賞された。
二等級 日本	園城寺 おんじょうじ	竹製の花入。千利休が豊臣秀吉の小田原征伐に従軍した際に、伊豆韮山の竹で作り、子の少庵に与えた。少し水のもれるところが風情とされた。
三等級 日本	夜長 よなが	竹製の花入。千利休が豊臣秀吉の小田原征伐に従軍した際、伊豆韮山の竹で作った。同時に作ったほかの２本は子と秀吉に与えたが、夜長は利休が愛用した。
四等級 日本	尺八 しゃくはち	竹製の花入。千利休が豊臣秀吉の小田原征伐に従軍した際に、伊豆韮山の竹で作り、のちに秀吉に献上した。利休が自害した際、秀吉に壊されたという。
五等級 明国	貨狄 かてき	床の間に釣る舟形の花入。織田信長が所有していて本能寺の変で焼失したもの、茜屋宗佐が６００貫で買い取ったものの２つが名物として知られている。
六等級 日本	深山木 みやまぎ	尺八竹の花入。小堀遠州の作。「深山木のその梢とも見えざりし桜は花にあわはれにけり」の和歌にちなんで命銘されたといわれる。
七等級 日本	雪折 ゆきおれ	一重切の竹花入。名は雪に折れた竹を切って作ったことにちなむ。小堀遠州の作という。小堀遠州は遠州流茶道の開祖で茶道は古田重然に学んだ。
八等級 日本	旅枕 たびまくら	花入の形の一種。姥口と円筒状の素朴な形が特徴。小形の旅枕になぞらえてこう呼ばれる。背に穴をあけ、床柱に掛けて掛花入として用いられる。
九等級 明国	春雨 はるさめ	名物花入。「広沢の池の堤の柳かげ緑も深く春雨ぞ降る」の歌から小堀遠州が命銘した。茶人として名高い遠州が優れた茶器に選定した「中興名物」の１つ。
十等級 日本	からたち からたち	古伊賀花入の一種。趣は、ますらお、剛毅。口が一部割れていて、朽ちてなお立ち続けるが如き様は、観る者に力強さを感じさせる。

等級 生産国	家宝名	由来
一等級 日本	泪 なみだ	茶杓。豊臣秀吉に切腹を命じられた千利休がその死に際して自ら削ったもの。古田重然に与えられ、銘は利休の死を偲んだ重然によるものと伝えられている。
一等級 日本	関孫六 せきのまごろく	「無類の変わり物」と称された茶杓。小堀遠州の作。三本杉のような波状が、関孫六の作った刀に見える波状と似ているためこの名がある。前田家が所有した。
二等級 日本	弱法師 よろぼし	茶杓。『中興名物記』に「筒よろほうし是は細き茶杓なり」と謳われる名物。乞食宗旦とも呼ばれる千利休の孫・千宗旦の作で、最高級に属する逸品。
三等級 日本	笹の葉 ささのは	茶杓。宋から明時代の中国の薬さじに似ており、足利義政の作とも伝えられる。東山御物に名を連ねる誉れ高き作。のちの笹の葉型茶杓の原型となった。
四等級 日本	玉霰 たまあられ	伝説の茶杓。大坂冬の陣中、古田重然が竹を削って茶杓を作っていたところ、重然の禿頭を城内からの砲弾がかすった。銘はこれにちなんだものとされる。
五等級 日本	武蔵野 むさしの	茶杓。小堀遠州の作と伝えられる。加賀前田家所有の富士茄子に添えらたもの。茶杓は茶入の中から抹茶を茶碗にうつす際に使い、茶人が自作した。
六等級 日本	二尊院 にそんいん	茶杓。利休七哲の１人・細川忠興の作。忠興が嵯峨二尊院の竹を削り、利休がこれを補作して、蒲生氏郷が茶杓筒を作ったともいわれる。
七等級 日本	残月 ざんげつ	茶杓。豊臣秀吉の作。筒も茶杓と同じ優雅な竹で作られている。筒には朱の漆で「残月ひてよし於高台寺造之」と記されている。
八等級 日本	蟲喰 むしくい	茶杓の一種。その名の通り、蟲喰の跡があるものを総称してこう呼ぶ。有名なものでは千利休、古田重然、細川忠興、千宗旦の作などがある。
九等級 日本	落曇 おちくもり	茶杓。千利休作で、豊公御物と伝えられているが定かではない。豊臣秀吉が好みに無理に曲げようとしたところを侍医・徳雲軒が諌め、拝領した。
十等級 日本	白山 しらやま	茶杓。金森宗和の作。「白山ふりにける友とやこれをなかむらん雲つもりにしこしのしら山」と加賀白山を愛でた和歌が筒書付に添えられている。

等級 生産国	家宝名	由来
一等級 日本	芋頭 いもがしら	水指の一種。中央部分が膨らんでおり、それが芋の形に見えることからこの名がある。南蛮芋頭水指や染付芋頭水指、三島芋頭水指など様々な種類の形がある。
二等級 日本	菱馬 ひしうま	染付水指。表側には幅広の団扇の中に背中合わせの２頭の驢馬が描かれており、裏側には１頭の驢馬が描かれている。横長の菱形をした深い水指である。
四等級 日本	山躑躅 やまつつじ	南蛮芋頭水指の一種。南蛮芋頭水指とは中膨らみな芋形の水指で、産地が琉球や南方のもの。水指は点茶の際、茶釜に注ぐ水を汲み置く器である。
六等級 日本	破桶 やぶれおけ	備前水指。竹箍（たけたが）のかかった木桶が破損した形をもとにしたもの。千利休が愛用していたという。のちに加賀前田家の所蔵となる。
八等級 南蛮	阿蘭陀水指 おらんだみずさし	南蛮渡来の水指。胴に描かれた鮮やかな黄、赤、緑の模様が、たばこの葉を連想させることから、別名を「たばこの葉の水指」ともいう。
十等級 日本	種壺 たねつぼ	もとは農民たちが種子の貯蔵に用いていた素焼の壷。その独特な味わいが当代の茶人に趣深いものとして好まれ、水指として利用された。

等級 生産国	家宝名	由来
一等級 明国	千鳥 ちどり	砧青磁香炉。豊臣秀吉が所有していた。盗賊・石川五右衛門が伏見城から盗もうとしたが、蓋の千鳥の飾りが鳴いて知らせたため、捕らえられたという。
一等級 日本	火屋 ほや	香炉の一種。神迎えの儀式・四方拝の際に使う香炉。最も格の高い茶事・台子や長板の場合に限り、蓋置（釜の蓋をのせる器）として使うことが許された。
三等級 明国	向獅子 むかいじし	香炉の一種。一対の獅子が口をあけ、そこから煙が出るようになっている。当時多くの茶人に愛用された。獅子は獅子でも、丸く太った像をした獅子である。
五等級 明国	袴腰 はかまごし	香炉の一種。その姿形が袴を腰につけた様に似ていることから、こう呼ばれる。袴腰香炉の中でも特に名高いのは、中国宋代の鼎形青磁といわれる。
七等級 明国	浅間 あさま	青磁香炉で、東山御物の１つ。東福寺、稲葉丹後守と伝わり。沢庵和尚も愛でたといわれる。香を信州浅間山の煙になぞらえて、こう呼ばれる。
九等級 日本	此世 このよ	小品で侘びた名香炉。和泉式部の「あらざらむこのよのほかの思い出に今ひとたびの逢ふこともがな」という和歌にちなむ。千利休ら多くの茶人に愛された。

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